味の大王なかじま店味の大王なかじま店
 
★---ファンとカレーラーメン---★
 
 
まえがき
  カレーラーメン あまり聞き慣れないラーメン。
 北海道のラーメンと言えば、塩、醤油、味噌であり、それからすれば カレーは邪道のラーメンと言えるかも知れない。  しかし、邪道であってもいいのだ、美味しければ!  美味しいが故に 人々はそのラーメンを欲するのである。
 ここで言うファンとは、安倍なつみとモー娘。を率いるハロプロ系ファン、そして安倍麻美のファンを意味する。

 そのラーメンファンとの間には、無意識と時流の中で密接に関わり合った現象が存在した事を
これから探ってみよう。
 カレーラーメン伝来
  ここで、室蘭のそのラーメンの歴史を紐解いてみる。
もともと、室蘭のカレーラーメンは岩見沢市内で営業していた「味の大王」(現ー味の大王総本店先代) から暖簾分けという形で、昭和46年に室蘭市輪西という町で産声を上げた。
 当時は高度成長の終盤期、鉄鋼、造船などの鉄鋼業製品がまだまだ作れば作る程売れる時代。
室蘭市内は労働者にあふれ、巷は人々の活気や歓声で賑わっていた。
輪西という町は、富士鉄(現-新日鉄)の城下町・・城ではないので、場下町にあたり労働者が往来する町である。
 ここに、室蘭味の大王の元祖というべき1号店がKH氏(現在は美唄市で「三船」を経営)によって
歴史的第一歩を踏み出す・・オーバーな表現?そんなことはない(笑)
 KH氏談
   「当時は景気が良かったから一日200、300杯も売れた、塩、醤油も売れたが味噌が主流だった
        カレーラーメンは記憶にないほど売れなかった」 と語る。
やはり、そのラーメンはマイナーであり、そのイメージはラーメンの上にカレーがのったような印象を人々はもったに違いない。
 味の大王の進展
  時を経るに連れて、その一粒種は数を増し、この狭い室蘭近郊で6店舗(室蘭本店を含む)までになり、 徐々に室蘭の人々もそのラーメンという異質の食に魅了されていく。
 しかし、そのカレーという味は、それから数十年という永きに渡り北海道胆振管内を越えることはなく、 この地域のみ内向的に食されてきた。 ただ、ある時までは・・。
 味の大王なかじま店誕生
  味の大王なかじま店においては、昭和56年4月、室蘭本店の暖簾分けという形で、先代が開店させた。
 店舗の場所が中島町の繁華街から外れた場末であることもあって、フリーのお客さんは殆ど来なかったが、 年を重ねるに従って、そのラーメンの数少ない常連のお客さんがリピーターとして何度も来店していただいて なんとか、経営が成り立っていた。
当店は、自慢にはならないが室蘭市内では全く知られていない店、中島にある味の大王と言えば、
駅前店を指すのが常識であり、それだけ市内でも無名なラーメン店だったのだ。
それにも関わらず店を経営してこれたのも、常連のお客様がいたからであり、更に先代の人柄もあったのだろう。
 常連さんに安倍さん御一家
  カレーラーメンの味に関しては、どこよりも美味しいと常連さんは言い、何度も通い満足される。
所詮、味とは個々の趣向によって異なるものであるが、より多くの人々を美味しいと言わしめる味がこそが正当性を持つ。
その点から言うと、当店は無名店であるが故に、味が知られず、正当性を欠くかもしれないが、常連のお客様は飽きることなく食されていた。
なぜ故か、当時の店舗のカレーの味ほど他で類を見ない常連をお客さんを引きつける味だった為であり、新店舗になってその事を思い知らされることになる(汗)
 その常連さんの中には、将来 芸能界で活躍することになる安倍さん御一家も時折ご来店されていた。 その頃は当然であるが、現在のなっち、あさみんが誕生するとは誰1人として予期した者はいなかっただろう。 ただ、細木さんを除いては(笑)
 ファンとのはじまり
  当店とファンの繋がりは安倍さんが、1999年3月、喫茶店「WOOD」を開店させたことから始まる。
安倍さんが当店の馴染みのお客さんであることもあり、よく世間話をしに「WOOD」に通っていて、
幸運にも、当時、モー娘。のメンバーとしてデビューを果たしていた、安倍なつみさんの「直筆サイン」を頂いたのである。
 更に、彼女がパーソナリティーをつとめるラジオ番組「スーパーモーニングライダー」で
「味の大王のカレーラーメンはお勧めです」 と彼女の口から語られたのである。
これを境に全国のファンが当店に来店するようになる。
 なっちらーめん誕生
  1999年当時、来店するファンは極僅かであったが、その中には、安倍なつみさんが「室蘭にある味の大王」と語った一言だけを 頼りに、当店を探し当てて来たファンがいたのだから、
それには驚かされた・・味の大王は室蘭に何店舗もあるのにぃ!(驚)
 翌2000年に入ると、札幌のファン数名が毎月のように来店し、「なっちらーめん」をメニューにして欲しいと、通い詰めていた。 面倒なことが嫌いな店長としては、やりたくはなかったが、ファンの熱意に打たれ、彼らにラーメンのアイディアを「投稿」してもらい、
ついに 2001年3月、裏メニューとして 「なっちらーめん」 を発売した。
 ファンとの交流
  なっちらーめんの誕生以来、北海道の観光シーズンには、そこそこのファンが観光を兼ね室蘭まで足を運んでくれていたが、 特に、モー娘。の北海道公演(2001年、2002年)の翌日には、一日で50人前後という数のファンが来たのだから、ビックリ仰天!
 少ないスタッフでやっていた為、嬉しいという感情よりも、大変さの恐怖が上回っていたことは嘘偽りのない正直な感想だ。  以来、店長としてハロプロ北海道公演の日程を掌握していなければならないという、嬉しい宿命に囚われていた。
 更にそのピークは2004年にやってきた。
安倍なつみさんがモー娘。を卒業して初めての北海道公演2004年9月、なんと一日に100人、チャーシューがなくなったぁ(汗) ・・全国のなっち推しのファンは挙って来蘭し、当店に「なっちらーめん」を食べに来てくれたのだ。
 それに今では幻となった 「落書きエントランス」 は、この時すべて、落書きで埋め尽くされたのである。
 ファンサイト
  2000年、2001年当時は、インターネットが徐々に普及し始めた頃で、若者だけのものであった。
今では、ブログなどが多くの人々に利用されているが、その頃は情報を発信するにはHPのみであり、 HTMLの知識がないと発信できない時代であった。
 インターネットの普及は、モー娘。の人気に呼応して進化を遂げてきた部分があって、
ファンは、自らモー娘。のファンサイトを立ち上げ、情報を発信し、BBSを利用して ファン同士のコミュニケーションを広げていた。
その彼らの中には、すでに掲載されていた当店のHPにアクセスし、情報を入手して来店してくれたり、 「ファンサイト」に当店を紹介したページを掲載してくれたりと、尚一層、当店が有名になった一因とも言えよう。
 その当時、検索サイトで「味の大王」というキーワードで検索すると、 殆どすべてが当店の事が記されたページが抽出されたことを記憶している。
 ちなみに、現在ではファンサイトも少なくなっている為、それに当てはまらないことを付け加えておく。
 そのラーメンの旅立ち
  2001年9月11日、味の大王室蘭本店にTBS系全国ネットの情報番組「情報エクスプレス」のライブカメラが入ったことがあった。 この取材目的は、正にそのラーメンの紹介だったのである。
 それまで、室蘭本店はしばしば雑誌やTVで紹介されていたが、室蘭を代表するラーメン屋としてで、
そのラーメンがメインとなることはなかった。 
その時、TV局スタッフが本店店主にこんなことを話したそうだ。
   「インターネットでカレーラーメンが話題になっていますね」
これが、室蘭そのラーメンが全国へ向けた発信の第一号だと言っても過言ではないだろう。
 TV局スタッフが言った「インターネットでカレーラーメン・・」
 いったい誰が話題にしているのだろう・・それはもちろん、 ファンである。
これを裏付ける事実として、全国ネット放映の半年前、ローカル局では既に特集が組まれ放映さえていたことが、 「BBS」の書き込みを見てもお分かりになるだろう。

ファンのHPやBBSでも、一度も食べたことがないそのラーメンを食べ、衝撃を受けたコメントを幾つも読んだことがある。 その数は限られたとしても全国のファンが来店し、カレーなっち を食されていたのだから、その効果は大きい。
 そのラーメンのイメージと言えば、多くの人はラーメンの上にカレーライスのルーが乗った感じが・・スープがカレーそのもの。 まして食べたことがないカレー味の美味しいラーメンのだから、また食べたいと思ったことは違いない。 ただ、辛いものが苦手なファンは、相当苦労して食べていたようだが・・(汗)

 2003年には、なつみさんの妹である安倍麻美さんが渡辺エンターテイメントからデビューして、
5月11日、写真集撮影の為来蘭した折、スタッフと共に来店してくれたのである。
その時、麻美さんは初めてそのラーメンを食べ、ポスターにその感想を書かれている。
それ以後、彼女もメディア等でそのラーメンの事を口にしていたことから、 あさみん(麻美)ファンにとっても未知なるそのラーメン魅了されていた。
10 カレーラーメンが全国へ
   ブームとは、突然、起こる場合、短期間で全国をも巻き込むブームは意外と、すぐ終息するものであるが、  何年も時間を要して広まったものは、すぐには衰退しないもの。
 このそのラーメンに関して言えば、2000年から少しずつジワジワと道内・道外へ広まっていく。  例えば、雨水が大地に降り注ぎ、時間をかけて地下水脈を成すように・・。
 2005年には、味の大王幌別店や、味の大王総本店が毎日新聞に紹介され、
まさにブームの予兆である。

 2006年3月、「室蘭カレーラーメンの会」が発足、全道・全国へ向けて、 そのラーメンをアピールする為、TVや新聞でPR活動を展開している。 当然、その同会には当店も参加させていただいている。
 ここ1、2年のそのラーメンの注目度は、一体、何処から現れてきたのか?
それは、ズバリ! 安倍なつみさん・麻美さん・モー娘。のファンのお陰であると断言する。
 「前述したように、ファンが全国にカレーラーメンを広めてくれたのだぁ!」と言うと
 「そんなバカなぁ、それはあんたの思い過ごしだよ!」といわれそうだが・・自分で突っ込みました(笑)

まぁ、すべてがそうだと言っているのではなく、そのラーメンを全国へ発信する基盤を作ったのが、
先ず、間違えなくファンなのである。

 もう一つ、その流れの機運というべき事があった。
それは、「室蘭カレーラーメンの会」が発足する2ヶ月前の2006年1月早々、北海道新聞夕刊に
 「3月以降取り壊し」の見出しで当店が紹介されたのである。
室蘭市内では無名なラーメン店にも関わらず、全道版の紙面を飾ったのである。 更にこの日のHPアクセスは1500件・・何しろ、全国でも有名な「ハロプロ情報サイト」などに、 道新の記事が掲載されたのだから、異常な数のアクセスでその影響に身震いをしたほどだった。
 この道新の掲載によっても、そのラーメンが全国展開に至る一つのインパクトになったのだろう。
11 室蘭を愛するひと
  味の大王のカレーラーメンが誕生して40年、
それまで北海道胆振支庁管内を脱することはなかったそのラーメン
1人のタレントとそのファンの行動によって全国へと広がり、
その地域自体の方向へも導くというドキュメントリーを目の当たりにして、
私はその目には見えない人々のエネルギーを感じざるを得ない。

 室蘭を愛してやまない、安倍なつみさんにとっても、室蘭のものが全国へ広がっていくことを、
嬉しく思ってくれるに違いない。
あとがき
  最後に、味の大王なかじま店をご愛顧いただいた常連のお客様、
安倍なつみさん、麻美さん、モー娘。が縁で出会ったファンの皆様、
さらに、今まで当店をバックアップしてくださった業者様、
この場で厚く御礼申し上げる次第です。
これからは新店舗で新たな歴史を創って参る決意でありますので、宜しくお願いいたします。

 まあ、それはそれとして、明日、店の利益をあげねばぁ!(汗)
以上    ‖
 
 2007.2.11
   味の大王なかじま店 店長